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【義理の姉との7日間生活-6】せなか

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【内容】
全82p
表紙:1p
表紙(ロゴ無し):1p
扉絵:3p
キャラ紹介:1p
本編:65p
おまけ:11p

【ストーリー】

起きた時頭に浮かんだ言葉は、「時間が止まればいいのに」だった。
今日は明音さんと「恋人として過ごす日」。
そして、丸一日2人きりで過ごせる、最後の日。

時間は…4時前。
時計の長針を止めれないかと1分程願ってみたが、当然無駄だった。

明音さん…大好きな人と1日過ごせるのに、気分が暗い。
1秒が惜しいし、恨めしい。
昔、時間が止まった空間に2人きりで閉じ込められて
脱出するって内容のアニメを観た事がある。
あのアニメのキャラが心底羨ましい。
俺なら脱出なんてせず、ずっと明音さんとそこで暮らすのに。

そんな事考えてる時間すら勿体無い。
明日の夕方には、戻らなければいけない。

姉と、弟に。

やばい…そう考えるだけで泣きそうになる。

明音さんは…どんな気持ちなんだろう。
そう思っていると、明音さんが目を醒ました。

「眠れませんか?」

そういえば、3、4時間しか寝てない。
でも、それも当然だ。

小さい頃、日曜日の朝は決まって早起きだった。
学校は無く、何をするか考えるだけでワクワクして、
眠っている時間が勿体なかった。
そして、1日が終わりに近づくと、いつも思っていた。
「ずっと今日が続けばいいのに」

昨日の昼からろくに食べて無いから、腹が鳴る。
明音さんは朝食を作ると言ってくれたが、その時間すら惜しかった。

外は…晴れているらしい。
俺は、明音さんに提案する。
「コンビニ行かない?」

この時間なら、近所の人や友達に見られる可能性は低い。
もし見られて、何かあったら面倒だ。
俺はいいけど、責められるのは大人の明音さんだ。

早く大人になりたいな。
時間は止まって欲しいけど。

大人か…できれば身長は高くなりたいな。
少なくとも、明音さんよりは。
大学も、なるべくいいトコ出て、お金をたくさん稼げるようになりたい。
大きい家に住んで、いい車に乗って、その車で休みの日は買い物や温泉に行ったり。

大人になったら…明音さんを幸せにしたいな。

俺達の家は静かな所にあってそれは良いんだけど、
住宅街でコンビニやスーパーに行くには、少し歩かないといけない。

普段はそれが面倒だと感じていたが、今はそれが嬉しかった。

夜道を明音さんとゆっくり歩く。手を繋ぎながら。
デートって…こんな感じなのかな。

住宅街を抜けて、階段を登る。この方が坂を登るより近道だ。

もう明るくなり始めてるけど、月が綺麗だった。
聞こえるのは遠くで一匹だけ、蝉の鳴き声だけ。

会話は無い。手を繋いだ時から2人とも黙ったまま。
でも、信じられないくらい幸せだ。

…それも、今日までなんだな。

何となく、明音さんも同じ気持ちなんだろうなってのが分かった。

俺と同じで、幸せだけど、憂鬱な…そんな気持ち。
だから、ちゃんと言葉にしないといけないと思った。
いつかの後悔が、背中を押す。

俺がどう思ってるか、伝えないと。
時間が過ぎるのは止められないから、「今」を大切にしたい。

俺の言葉を聞いた明音さんは、優しく笑ってくれた。

作り笑顔じゃない、本物の表情。

今日が終わる前に、もっとこの笑顔を見たいな。

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